小売業のように商品を顧客に販売する事業では、POSシステムなどを使用して販売データを集計します。ここではこの集計したデータを用いた分析手法である「ABC分析」を紹介・解説します。
ABC分析を行うにあたってはまずPOSシステムなどから販売データの集計を行います。どの商品がいくらでいくつ売れたのか、売上金額はいくらなのかを表形式でまとめることで、売上の内訳に該当する商品ごとの販売実績が可視化されます。
集計した販売データを元に、販売金額の多い順に並べ替えたうえで全体の売上高に対する構成比を算出します。そしてその構成比を上から順番に合計し累計構成比も算出し、その算出結果に基づきAランク・Bランク・Cランクにそれぞれ分類します。この分類の仕方はいろいろありますが、累計構成比70%までをAランク・90%までをBランク・100%までをCランクなどのように行います。このランクごとに商品施策を検討し、売上と利益の最大化を目指します。
通常のABC分析は累計の売上構成比を用いて分析を行うのに対し、クロスABC分析は売上金額と販売数量・売上金額と得意先などといったように、2つの項目を用いてABCランクづけを行い、より細かな分析を行う手法です。
ABC分析は「その商品が全体の売上高に対してどの程度貢献しているか」を数値化して重要度を分ける分析手法ですが、クロスABC分析は「売上が高く粗利も高い商品はAA」「売上は低いが粗利は高い商品はCA」「売上も粗利も低い商品はCC」のように損益に対してどのように貢献しているかをより細かく把握することができます。データ分析は細かいデータが取れれば取れるほど精緻な分析が可能になり、効果的な施策を検討することにつながります。
ID-POSを用いると、購入者IDを紐づけられますので通常のABC分析に加えてリピート率も把握できます。ただ売上高の数字だけを元に重要度のランク付けを行うのではなく、顧客の購買意識なども勘案した分析を行うことが可能になり、より深い分析と的確な改善施策を立案することができます。
ID-POSを使用して棚割分析も行うと、より精緻な分析が可能です。どのカテゴリがどう貢献しているかまで分析することができますので、クロスABC分析とリピート率を重ね合わせることで商品だけではなくストア全体への影響度も考慮しながら売上・利益の最大化を図ることが期待されます。
データ分析において、データが多ければ多いほど分析の選択肢は広がります。そのためID-POSを用いて商品の販売データだけではなく付随する情報を取得することでより理論的な販売戦略を検討できます。そのため販売データの管理にはID-POSシステムがおすすめです。