ABC分析とは、たくさんの種類がある製品やカテゴリを、特定の評価軸を使って順に並べ、割合などの基準でA・B・Cの3グループに分類し、優先度を決める分析手法で、重点分析とも呼ばれます。
ABC分析を行うと、その店舗での売れ筋のパンが分かります。また、売上、コスト、在庫などを重要度が高い順にランク付けできますので、重要度の高いところに経営資源を多く配分し、売上や利益を効率的に向上させることができるようになります。
クロス集計とは、アンケートで収集した回答データを、設問と設問をかけ合わせて集計する手法です。クロス集計を行うと、この商品(パン)に対して、全体では7割の人が満足していたが、満足度に年齢差があり60代以上の人で満足している割合は4割と、全体よりも低かった」といったように、単純集計では見えなかった点が分かります。
重回帰分析は店の規模やスタッフ数、販売する商品数、価格、立地など、複数の要因のうちどれが売上高に影響を与えているかを分析し、売上高を予測する方法です。
アソシエーション分析は、顧客の購買実績を分析して商品同士の関連性を見出し、売れる商品の組み合わせやそれ以外の商品を把握する手法です。有名な例に「パンとバターとミルク」や「おむつとビール」が挙げられます。
一見関係のないように見える商品に特定の関連性を見い出せば、売れるためのマーケティング策定や販促活動ができるようになります。
主食パンは、食事の一部として主に消費されるパンのことを指します。これには、食パンやフランスパン、全粒粉パンなどが含まれます。これらのパンは一般的にシンプルな味わいで、バターやジャム、サンドイッチのベースとしても利用されます。日本においても、朝食やランチでのサンドイッチ用として高い人気を誇っています。
サンドイッチ・総菜パンは、中に具材が挟まれたり、トッピングが施されているパンを指します。具材には、ハム、チーズ、卵、野菜、シーフードなど多岐にわたり、バリエーションが豊富です。手軽に食べられることから、忙しいビジネスパーソンや学生にも人気があります。これらのパンはコンビニエンスストアやベーカリーで広く販売され、食事や軽食として消費されています。
菓子パン・ドーナツ類は、甘いフィリングやトッピングが施されたパンのことを指します。アンパン、クリームパン、メロンパン、ドーナツなどが代表的です。これらのパンはデザートやおやつとして人気があり、特に子供や若年層に好まれます。また、季節限定のフレーバーや地域限定の商品も多く、消費者の興味を引く工夫がされています。
CCCマーケティング総合研究所が行った2021年12月~2022年2月の調査によりますと、ハンバーガーを含むパン・ピザ・ハンバーガーのカテゴリーは、全カテゴリの総合トレンドランキングのうち6割を占めていることが分かりました。
その中でも目立ったのが、日本ではあまり知られていないパンメニューでした。韓国発のガーリックパン「マヌルパン」やイタリアの国民的な菓子パン「ボンボローニ」、スウェーデンのシナモンロール「カネルブッレ」などが人気を集めており、馴染みのないパンを珍しさから買い求める人が多いと分かりました。
一方、クロス・マーケティングによる2023年のパンに関する調査では、食事シーンごとのパンを食べる頻度で「朝食でよく食べる」と回答した人は約半数でした。特に女性は「焼きたてパンの匂いに魅かれる」「お気に入りのパン屋さんがある」と回答した人が男性よりも多く、パンを食べる機会が多く、パンに関して関心が高いことがうかがえます。
パンのデータ分析を行うと、販売場所によって顧客が重視する条件に違いがあることが分かります。
パンの専門店、いわゆるベーカリーでパンを購入する人は、スーパーマーケットおよび店内のベーカリーに次いで多い結果となっています。ただ、1回あたりの購入金額を見ると1,000円未満と回答した人が大多数で、パンを購入する決め手としてパンの種類や美味しさに加え、価格を重視している人が多いことが分かります。
コンビニで購入される食品のうち、パンは弁当類に次いで購入する人が多い結果となっています。年代による比較で見ると20代が最も多いものの、スーパーやベーカリーに比べると、どの年代も購入機会は低めのようです。一方、コンビニ各社は美味しさを求めるニーズに合わせてプライベートブランドのパン開発に注力しており、勝機を賭けて争っています。パンのヒット商品が誕生すれば、そこからトレンドが広がる可能性も少なくありません。
生鮮食品や日配品などを買うために訪れる機会の多いスーパーマーケットは、「なじみの店」がある人も多く、決まったスーパーマーケットで朝食用にパンを購入する人が多いようです。焼きたてのパンを買いたいという消費者のニーズから、パンを作るガラス張りのキッチンを併設し、焼き立てパンを提供するスーパーも増えてきています。
ネットで食品を気軽に購入する人が多くなり、ここ数年でパンの通販市場が盛り上がりを見せています。毎月美味しいパンが自宅に届くサブスクタイプの通販や低糖質・高たんぱくで体づくりをサポートする完全栄養パンなど、消費者のニーズに合わせたマーケティングを展開した企業が顧客を掴んでいます。
フジパンでは、新商品の開発前に必ず市場調査を行い、トレンドや市場動向を分析した上で開発に着手しています。バイヤーに対する提案時にもデータ分析を活用しており、前年の動きなどを数字で示すことによって根拠に基づいた提案につなげているそうです。
さらに、ランキングデータをエリア別で細かく分析。地域によって異なる好みを把握し、売れ筋の商品をバイヤーに提案する際に活用しています。
パンの製造から販売までを手がける山崎製パンは、受注情報のビッグデータを活用して製品の廃棄ロス削減に成功しています。受注情報をリアルタイムで工場に共有することで、適正な生産量を把握できるようになったとのこと。それにより、製造に使用する機械が故障する前に修理できるようにもなり、生産効率の向上にも繋げています。
コンビニ大手ローソンでは、ポイントサービスの「Ponta」の会員データを使って売上データを分析し、在庫管理を効率化しています。売れ筋のパンの在庫が店舗で品切れにならないよう、リピート購入のデータをもとに需要を予測しています。全店のデータ分析と店舗ごとのデータを組み合わせて、より精度の高い需要予測もしています。
沖縄県にあるベーカリー「いまいパン」では、クラウド型の業務管理システムを導入して売上データを分析しています。ABC分析によって商品をランク付けし、販売数の上位のメニューを残して下位のメニューは廃盤対象にするなど、商品を判断する際に活用しているとのことです。利益率の向上や商品開発に繋げています。