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バスケット分析

さまざまなモノを消費者に向けて販売する小売業では、顧客の購買行動をはじめとしたいろいろなデータの分析が欠かせません。何がどれくらい売れているのか、どんなお客様が購入しているのかなどのデータをしっかりと分析することで、次の販売戦略に繋げることができます。

ここでは「バスケット分析」について紹介していきます。分析手法と、得られる効果などを解説します。

バスケット分析とは

バスケット分析とは

バスケット分析は、消費者の購買行動のうち、特定の商品が他の商品と同時に購入される頻度を分析・予測する手法です。この手法は、消費者の購買行動を理解し、関連商品の組み合わせを見つけるために使われます。

この分析は今までに購入されたお客様のデータをもとに商品同士の相関を分析し、レコメンド施策やクロス施策などのマーケティング施策、売り場レイアウトのアレンジ、商品の在庫管理などに役立てることができます。ただ単に1つの商品が売れている・売れていないではなく、複数の商品の相関を見る事で立体的な販売戦略の立案が可能になります。

バスケット分析の進め方

バスケット分析では主に3つの指標を使って対象となる商品の相関性を分析します。 まず一つめは指示度です。これは全体の中でspan>商品Aと商品Bが同時に購入される頻度を表しており、注目すべき商品の組み合わせにおける購買件数の基準値が把握できます。

しかしこの指示度で注意すべきは、極端に購入件数の多い大人気商品や定番商品も含まれてしまうため、新しい予想外の組み合わせを特定しづらい点です。指示度の高い商品同士の組み合わせが「注目すべき組み合わせ」と認識しましょう。

信頼度

信頼度は商品Aが購入された時に商品Bも一緒に購入される頻度です。指示度だけでは購入件数が等しい組み合わせの時にその組み合わせに優劣が付けられないという問題点が生じますが、この信頼度を含める事で順位付けが可能になります。信頼度の指標が高ければ高いほど商品Aと商品Bは同時に購入される頻度が高いほど商品Aと商品Bは同時に購入される確率が高いと認識することが可能です。

リフト値

リフト値は商品Bの購入が商品Aを購入する頻度をどれくらい引き上げているのかを示す数値です。購入時の組み合わせ・買い合わせに注目する指標であり、購入されやすい商品の特定が可能になります。これにより、感覚的な把握が難しい予想外な購買行動を数値として認識することができます。リフト値が1に満たない場合には有益な指標にならず、リフト値が低ければ低いほど対象商品の相関は薄いと判断できます。

バスケット分析を実践するために

バスケット分析そのものは、ここまでに紹介したような指標分析を行うことで簡単にとりかかれます。身近なビジネスツールでいうとMicrosoftのExcelやGoogleスプレッドシートなどを使えば実践できます。

しかし多くの小売店では大量の商品データを取り扱っているでしょうから、分析データの量も膨大になってしまうでしょう。そうなると人が1人分析にかかりっきりになってしまったり、管理コストが多く発生してしまう可能性があります。効率的にバスケット分析を行い高い効果を得るためには、購買データの分析を行うために提供されているような「購買行動データサービス」を導入することも一つの手段として検討してはいかがでしょうか。

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バスケット分析を活用した代表的な事例

「おむつとビールの事例」

バスケット分析の認知度を上げた有名な例が「おむつとビール」です。1992年のアメリカのドラッグストアで行われたデータ解析において、「金曜日の17~19時の時間帯は、おむつとビールを同時に購入する30~40代の男性客が多い」という結果が出ました。この情報から浮かび上がる人物像は、「おむつの買い出しを頼まれた父親」です。仕事帰りにおむつを買いにドラッグストアに立ち寄った父親が、そのついでにビールを買っているという仮説が生まれました。その仮説に基づいて、ドラッグストアでビールとおむつを隣に陳列したところ、売上がアップしたという事例です。バスケット分析で人物像を明確化させることで、マーケティング施策の材料として役立ちます。

「豚挽肉と餃子の皮」「豚挽肉と麻婆豆腐の素」

豚挽肉の同時購買商品においてバスケット分析を活用した事例を紹介します。餃子の皮・炭酸飲料・麻婆豆腐の素・アジの開き・くだものゼリーをピックアップ。関連性の指標であるリフト値を確認すると、「餃子の皮」と「麻婆豆腐の素」はリフト値が2を超えていました。他の商品はリフト値が1を下回っていたことから、餃子の皮と麻婆豆腐の素は豚挽肉との相関関係がある商品だと言うことが分かります。実際の売り場でも「餃子の皮」「麻婆豆腐の素」は精肉コーナーに陳列されていることが多いです。このようにバスケット分析によって相関関係が分かった商品を一緒に見せるという売り場づくりやチラシ作成に活かせます。

バスケット分析をする上での注意点

バスケット分析をする際には、商品の組み合わせに注意してください。購入パターンを分析する際に、「商品」もしくは「カテゴリー」の組み合わせ方で分析結果が大きく異なってしまいます。商品ごとに分析すると、組み合わせパターンが多くなり、母数が少なくなることで誤差が生じます。カテゴリーごとの場合は、母数が増えるため制度が高いですが、詳細を判断しづらいです。組み合わせ方によって長所・短所があるため、目的に沿った組み合わせを意識して分析しましょう。

バスケット分析の精度をあげるためには、普段から売れ筋の商品を分析対象から外すことが重要です。もともと売れている商品を含めると併売傾向が読み取りにくくなります。普段から売れ筋の商品以外にも、季節やキャンペーンに影響を受けにくい商品や年代や性別を問わず購入されやすい商品も除外しましょう。たとえばミネラルウォーターなどは、多くの人が購入している商品のため、様々な組み合わせで購入されます。「ミネラルウォーターを購入する人は何と一緒に購入するのか」といった分析には使用しづらいです。

また、分析結果をそのまま売上に反映させないように注意しましょう。たとえば「小麦粉」と「洗剤」が同時に売れやすいという結果が出たとしても、これを隣に陳列すると違和感につながってしまいます。このような商品の組み合わせは、隣に陳列するのではなく特売日を同じ日に設定するといった別の方法で同時購入につなげましょう。

バスケット分析のエクセルでのやり方

支持度を計算して分析対象を絞る

すべての購買データから商品組み合わせごとの支持度を算出します。それぞれの商品同士がどれだけ同時購入されているのかを確認します。縦軸に購入番号を振り、横軸に商品A、商品B…と入力。1を購入、0を未購入と定義して、各レシートで購入・未購入を割り振って表にします。

表が用意できたら、同時購入数を算出してください。計算式は「=COUNTIFS(B2:B100, 1, C2:C100, 1)」です。B列とC列がともに1の場合に、商品Aと商品Bが同時購入されているとみなしてカウントするという式です。

算出した支持度をソートして、支持度が高いものを今回のバスケット分析の対象としましょう。

信頼度と期待信頼度を計算

次に、ピックアップした支持度の高い組み合わせの信頼度と期待信頼度を計算します。信頼度と期待信頼度を計算することで、リフト値を算出します。「商品Aを購入した場合に商品Bの購入にどれだけ影響をあたえるのか」と問題を設定します。

信頼度は、「同時購入のトランザクション数÷商品Aの購入トランザクション数」で求めます。

期待信頼度は、「商品Bの購入トランザクション数÷すべてのトランザクション数」で求めます。

リフト値を計算

信頼度と期待信頼度から、リフト値が計算できます。リフト値を求める計算式は、「信頼度÷期待信頼度」です。リフト値が1を超えていると同時購入される傾向にあると判断できます。

Excelでは、それぞれのセルに数式を設定して計算してください。バスケット分析はExcelで完結できる分析方法です。

バスケット分析と他の分析方法との違い

RFM分析

RFM分析は顧客分析の一種であり、Recency (最近の購入日)、Frequency(来店頻度)、Monetary (購入金額ボリューム)という3つの指標によって顧客のランク付けを行います。それぞれの指標における分析結果の組み合わせによって、そのグループに対してどのようなマーケティング施策を講じるか検討することができます。これは顧客に対して行う分析手法であることから、バスケット分析とは分析対象が異なります。

デシル分析

デシル分析は顧客分析の一種であり、顧客そのものをランク付けして注力すべき顧客をグループ化する分析手法となっています。売上に対して貢献度の高い優良顧客層を知ることができる分析手法ですので、こちらもバスケット分析とは分析対象が異なるものです。

ABC分析

ABC分析は商品の売れ筋や死に筋を見極め管理するための分析手法です。単品ごとの売上構成比を高い順に並べ替え、上から順番に足していき累計構成比に応じてランク付けを行います。例えば70%までをA、95%までをB、それ以下をCとグループ分けするなどしますが、この%をどこで区切るのか、数量・金額のどちらを使うのか、また両方組み合わせてクロスABCにするのかなど分析の仕方はお店によっていろいろです。

まとめ

マーケティングはとても奥が深く、その分析手法は多岐に渡ります。ここではバスケット分析について紹介しましたが、データをうまく活用するためにはデータ分析ツールの活用なども検討しましょう。

データ分析はデータ量が多ければ多いほど深みが出ますがマンパワーには限界があります。そのためビジネス分析ツールなどをうまく活用し、より多くのデータ対象から店舗の改善に繋がる有益なデータ分析を行えるようにしましょう。これからの時代はITをうまく活用しながら効果的な施策を講じられる企業が生き残っていきます。まだ使った事がない人も、この機会にぜひチャレンジしてみてください。

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